往診ブログ

患者様とご家族が「自分らしく生きる」ための在宅医療に必要なこと

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「検査機器などが充分に揃っていない自宅で療養生活を送ったり、最期を迎えたりすることが本当にできるのだろうか」と、不安を覚える方がいます。確かに、在宅療養は、自宅に医師や看護師が常駐しているわけではありませんから、病院と同じようにはいかず、それなりの「選択と心構え」が必要です。
たとえば、認知症の場合、ご家族の接し方が困った症状の出現に大きく影響することがあります。
また、お年寄りは脱水や栄養不足、薬剤などの影響を受けやすく、ささいなきっかけで入院したり、寝たきりになってしまうことがあります。
自宅での療養には、患者様もご家族もある程度の知識や理解が必要になります。
「選択と心構え」、「知識」、「理解」が必要だと言われると、在宅療養を躊躇してしまう方もいることでしょう。しかし、それが現実だからこそ、「自分らしく生きるための在宅療養」を実現するには、知識の提供を含めて、患者様とご家族を全方位から支える「しくみ」が必要だと考えています。

その中で切実に感じるのは、一つは、ご家族の精神的・肉体的負担への支援がおざなりになっている場合が多いことです。そのせいで療養生活にひずみが生じ、患者様に悪影響を及ぼし、ご家族への精神的・経済的な負担がさらに増してしまうという悪循環に巻き込まれていることがあります。

もう一つ、患者様に対する薬物治療が適切かどうか、主治医が全体像を把握し、適正な内容へと最適化する必要がある場合が多いことです。高齢の患者様は、複数の病気を抱え、複数の診療科にかかっていることが多いために、お薬が十数種類に及び、処方回数も1日4回になることがあります。それによる弊害を見過ごし、対応せずにいると、やはり悪循環に陥っていきます。

ヨッシー